収益認識会計基準の適用開始
令和3年4月より、大企業には、企業会計基準委員会が公表した「収益認識に関する会計基準」が適用されます。
この基準では、「企業は約束した財又はサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する」とあります。
売上計上は、「履行義務」(顧客との約束)という新しい概念を用いて行われることになりました。
ライセンス供与の収益認識
ライセンスとは、ソフトウェア、フランチャイズや特許権等のことで、「アクセス権」と「使用権」に分類されます。
次の条件をすべて満たす場合には、そのライセンスは、「アクセス権」と判別されます。
- 顧客が権利を有する知的財産に「著しく影響を与える活動」を企業が行うことが、契約により定められていること等
- 知的財産に「著しく影響を与える企業の活動」により、顧客が直接的に影響を受けること
- 財又はサービスが顧客に移転しない
「知的財産に著しく影響を与える活動」は、わかりづらい表現ですが、デザイン、コンテンツ、機能を実行する能力を著しく変化させることが例示されています。
例えば、SaaS(Software as a Service)は、クラウドサーバーにあるソフトウェアを、ネット経由でユーザーに利用させるサービスですが、①常に機能やデザインがアップデートされ、顧客のニーズに適応していくもの(顧客にライセンスは移転しない)は、「アクセス権」、②ライセンス期間内で機能のアップデートがなく、変化しないものは「使用権」と判断されます。
アクセス権は分割計上、使用権は一括計上
ライセンスの分類ができれば、「アクセス権」は、履行義務が一定期間に充足されるものとして、期間にわたり売上を分割計上し、「使用権」は履行義務が一時点に充足されるものとして一括して売上計上されます。
アクセス権 | 一定期間にわたり収益認識 (分割計上) |
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使用権 | 一時点で収益認識 (一括計上) |
「アクセス権」とされたものは、顧客の契約ごとに前受金経理をし、管理する必要があります。
また、法人税でも、通達に同様の規定が設けられました。