声優やカメラマンなどフリーランスとして働く人には、10月から始まる消費税インボイス(適格請求書)の負担が生じます。
申告事務の煩雑さ
これまで免税事業者として仕事をしてきたフリーランスがインボイス発行事業者となる場合、登録申請手続きに加え、登録後は、登録番号等の記載した請求書の発行、仕入先から交付されるインボイスの保存、消費税の申告等が必要になります。
収益の圧迫
免税事業者のときは契約金額に消費税額が含まれているかを気にせず、全部を収入金額としてとらえていましたが、インボイス発行事業者となると、納税義務が生じます。
申告納税の必要性は理解できても、現実は、委託先に消費税分を請求できなかったり、値引きを求められたり、それでは免税事業者のままでいようとすると契約を打ち切られることも懸念されます。
簡易課税制度、2割特例の活用
国税庁は、申告事務の煩雑さを和らげるため、仕入税額控除にあたり、仕入先から交付されるインボイスの保存を不要とできる簡易課税制度を用意しています。
第五種事業の場合は、みなし仕入率50%となり、消費税を簡便に計算することができます。
さらに、税負担を軽くするため、インボイス制度の施行後3年間は、納付税額を売上に係る消費税額の2割に軽減する特例を利用でき、負担軽減措置がはかられます。
委託者との条件交渉
新たに生じる消費税額の負担を委託者とどのように分担しあうかを双方で話し合うこと、これまでの収入を維持するためには、消費税相当額を委託者から新たにもらうか、あるいは全額もらえなくても、双方で負担額を分け合うことが必要です。
フリーランス新法による働く環境の整備
令和5年5月、フリーランス新法が公布されました。
業務委託する事業者は、フリーランスに優越的地位の濫用が規制され、取引条件の明示が求められるようになり、フリーランスの取引適正化や就業環境改善が図られます。
2024年秋頃に施行予定です。
岸田内閣は「新しい資本主義」構想のもと、アニメ、映画などの分野でクリエイターの育成、創出を目指しています。
フリーランスにとっては報酬底上げの機会となると同時に、自身の技量や経験値を高め、委託先から選ばれる存在になることも大切になるといえそうです。