「税務調査で在庫を指摘された」
「税務調査で在庫はどうやって確認される?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、税務調査で指摘を受けやすい項目の一つが在庫です。
在庫は計算方法が各事業者によって自由に選択できる他、実地調査によって計上するので粉飾をしやすいという性質があるからです。
もちろん税務署をそれを分かった上で調査するので、指摘項目として重点的に見られます。
今回は税務調査で指摘されやすい在庫について、指摘項目と対策について解説していきます。
【目次】
税務調査で在庫が合わない
在庫(棚卸資産)は税務調査の中でも最も目を付けられやすい科目の一つです。
なぜなら、在庫の性質上
- 計上方法が多く調整し易い
- 社内で計上額の調整が出来る
- 調整された額は翌期に組み入れられる
等に利用されやすいためです。
ただし、これらの考え方で適当に在庫を調整することは粉飾に当たります。
もしあなたが在庫の計上方法をこのように考えている場合は注意が必要です。
もちろん税務調査に入られた場合、指摘されることとなります。
税務調査で狙われる「在庫」ポイントと対策
税務調査で在庫が狙われやすいのは分かりましたが、どのような点で指摘を受けやすいのか確認していきましょう。
指摘されやすいのは以下のポイントです
- 在庫の計算方法
- 決算直前と直後の取引
- 間接的な質問
- 取引運賃の計算方法
それぞれについて説明していきましょう。
在庫の計算方法
税務調査では最初、在庫計上までの「過程」を聞かれることが多いです。
例えば、在庫として計上した物は何か?在庫として数えた数量をどこにメモしたか?同意った根拠で計算したのか?などが聴取されます。
計算の根拠は聴取の対象となるため、計算した時のメモや評価根拠(その時の市場価格や、仕入した時の取得価格)などが分かるようにしておく必要があります。
対策方法
対策としては、在庫漏れが出ない方法で棚卸計算をする必要があります。
税務署職員の「在庫はどうしていますか?」という質問に対して「店と倉庫の在庫を数えました」とだけ答えていては「トラックの中や、未着品は数えましたか」と、鋭い指摘を受ける可能性が高いです。
まずは経理担当者がしっかり「何が在庫になるのか」という点を把握しておくことが大切です。
決算直前と直後の取引
在庫は決算の調整をする科目として最も利用されやすい反面、売上資料など周辺資料からも関連して指摘を受ける可能性が高いです。
例えば売上側から確認される場合は、決算開始の1日の売上を確認して、決算直前の末日にいくら仕入をして、いくら在庫として納品したのかを細かく確認されます。
- 決算直前に仕入れたはずの在庫をいつ売上したのか
- 売上計上されていないのなら何が在庫に計上されているのか
などの質問がされます。
仮に売上計上されていないのであれば
- 過剰計上のため利益が減少している
- 粉飾(脱税)が疑われる
といった流れで指摘されることになります。
対策方法
悪意のない計上ミスでも指摘の対象となりますので、漏れのない在庫表を作成することが大切です。
在庫として「在る物」を数えるのも大切ですが、在庫として「在らなければならないもの」を数えるのも大切です。
それらを確認しながら実地調査を行うようにして下さい。
間接的な質問
税務調査において「在庫は適正ですか?」というような直接的な質問をされることはまずありません。
関係の無いような発言をして資料からは分からない情報を納税者から聞き出そうとしてきます。
特に「決算直前に仕掛った商品」は、決算調整に利用されることが多いことから、重点的に調べられます。
対策方法
税務調査官がどのような意味を持って質問しているのかをしっかり判断する必要があります。
例えば、3月末決算のハウスメーカーに税務調査が入った場合、このような聞き取りをしてきます。
「素敵な家ばかりですね。4月の雪解け後に完成した家は雪が溶ける前から建築スタートしますよね?大変ですね」
この質問の真意としては「3月31日時点での仕掛品が無いか?」を聞き出すために行われます。
また倉庫内で「古びたねじですね、どのくらいで錆びるんですか?」といったような普通の会話の中に在庫計上漏れが無いか探っていることがあるので注意が必要です
取引運賃の計算方法
在庫の計上方法として「取引運賃を計上しているかどうか」も指摘されやすい項目です。
在庫は本体価格だけでは無く、仕入れに必要になった付帯費用も合わせて計上出来ます。
在庫単価の計算は事前に税務署に届けた方法によって評価することになるため、届出内容はしっかり確認しておきましょう。
対策方法
仕入に際して
- 運賃
- 運送保険料
- 検査料
等が仕入計上方法として届けているのかを事前に確認しましょう。
仕入の計算方法を指摘された場合に「付帯費用については仕入として入れていますか?」という質問に答えられなかった場合、粉飾を疑われる結果となります。
まとめ
- 在庫は粉飾決算する上でもっとも調整しやすい項目
- 在庫は税務調査で指摘されやすい項目
- 指摘された場合にしっかり答えられるように計上方法については届出内容を確認する
在庫での決算調整はよく行われる項目であることから、税務官も最新の注意を払って調査に当たります。
まずは在庫の計上方法について納税者側がしっかり確認しておく必要があります。
税務調査で指摘された場合、しっかり対応出来るように対策を講じておきましょう。