「税務調査に入られる確率はどの程度?」
「飲食業は税務調査に入られる確率が高くなるって聞いたけど本当?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、税務調査に入られる確率は全体を通せば20%程度だと言われています。
均すと5年に1度程度の確率で税務調査が入ることになります。
しかし、実際には3年程度で調査される企業や全く調査に入られない企業も存在します。
実は、業種によって税務調査に入る確率が大きく変わり、税務署も不正が発生しやすい業種や、不正が疑われる取引を行っている企業に関しては優先的に税務調査に入っています。
それでは、いったいどういったケースで税務調査の確率が上がるのでしょうか。
今回は、税務調査に入られる確率と、確率が変化する業種や取引について徹底的に解説していきます。
【目次】
税務調査に入られる確率
税務調査に入られる確率はどの程度なのでしょうか。
税務調査は3年間ごとに入るような事業者もいますし、10年以上入ったことがない事業者もいます。
多いケースでは2年連続で税務調査に入られたケースもあるようです。
それらのケースを全て含めて、全体で考えるとおおよそ5年間に1度程度の確率で、税務調査が入るものと考えておくと良いでしょう。
税務調査が入る確率が上がるケース
税務調査が入る確率が上がるケースが実は存在します。
実は、税務署が税務調査に入る場合、事前に同程度の売上や利益を出している同業者の平均値を計算し、大幅な乖離が無いか確認をしているのです。
つまり、平均値より大きく変化した申告が提出された場合は、税務調査が入る可能性が高くなります。
具体的には以下のようなものが当てはまります。
- 売上が急激に増加した
- 利益が急激に増加した
- 前年比で納税額が大幅に増加した
- 前年比で納税額が大幅に減少した
- 同業他社と比較して経費算入が多い
- 事業承継があった
- 不動産を購入した
- 会社や個人の資産に大きな変化が生じた など
例年の申告から大幅な変化があった場合は、期中での取引拡大(減少)の可能性の他に、過去の決算書での粉飾を疑われます。
そのため、税務調査が入る可能性が高くなるのです。
税務調査が入る確率が高い企業
次に、具体的に税務調査が入る確率が高い企業は以下のような企業です。
- 売上1,000万円以下が続く企業
- 現金商売を行っている企業
- 過去に重加算税を課せられたことのある企業
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
売上1,000万円以下が続く企業
売上1,000万円以下が続く企業は、消費税の租税回避が疑われるため、税務調査が入る確率が高い企業です。
特に毎年990万円や950万円などぎりぎりのラインで申告している企業は申告漏れを疑われる可能性が高いため注意が必要です。
現金商売を行っている企業
売上の多くが現金で決済している企業は、過少申告しやすいという特徴があるため税務調査が入る確率が高くなります。
特に現金商売の場合、事前連絡のない無申告の強制調査が入る可能性があります。
現金商売の企業を調査する場合は、事前に数日間張り込みして来店客数からおおよその売上を予想したり、実際に店舗で売上とレジ内の現金が一致するかどうか確認されたりする場合もあります。
過去に重加算税を課せられたことのある企業
重加算税とは悪質な隠ぺいや脱税があった場合に科せられる税金です。
過去に重加算税を課せられている企業は、以降の申告についても疑いの目で見られるため、3年程度で再度税務調査が入る可能性が高いです。
税務調査が入る確率が高い業種
最後に、税務調査が入る確率が高い業種について解説していきます。
税務調査が入りやすい業種というのは、不正発覚割合が高い業種です。
令和3年11月に国税庁は「不正発見割合の高い10業種」について発表しておりますので紹介していきます。
<不正発見割合の高い10業種>
順位 | 業種目 | 不正発見割合 % |
1件当たりの不正所得金額 千円 |
前年順位 |
---|---|---|---|---|
1 | バー・クラブ | 53.7% | 23,857 | 1 |
2 | 外国料理 | 52,0% | 14,323 | 3 |
3 | 美容 | 37.5% | 15,650 | 10 |
4 | 医療保険 | 36.7% | 11,469 | – |
5 | 生鮮魚介そう卸売 | 36.2% | 35,927 | – |
6 | 一般土木建築工事 | 36.0% | 18,282 | 8 |
7 | 職別土木建築工事 | 36.0% | 18,287 | – |
8 | 中古品小売 | 33.3% | 11,508 | – |
9 | 医療関連サービス | 33.3% | 33,200 | – |
10 | 土木工事 | 33.2% | 13,939 | 7 |
<不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種>
順位 | 業種目 | 不正発見割合 % |
1件当たりの不正所得金額 千円 |
前年順位 |
---|---|---|---|---|
1 | 自動車 同付属品製造 |
17.1% | 43,233 | – |
2 | その他の不動産 | 22.8% | 43,095 | 9 |
3 | 貿易 | 21.9% | 41,870 | – |
4 | 建売、土地売買 | 30.7% | 40,693 | 3 |
5 | 情報サービス | 20.7% | 40,485 | – |
6 | その他のサービス | 24.5% | 38,322 | 10 |
7 | 生鮮魚介そう卸売 | 36.2% | 35,927 | – |
8 | 医療関連サービス | 33.3% | 33,200 | – |
9 | 一般機械器具卸売 | 23.4% | 32,253 | – |
10 | その他の卸売 | 16.8 | 32,131 | – |
参考:
不正申告が発見されやすい業種は、税務調査が入る確率が高くなるため注意するようにして下さい。
不正をしていないで正しく申告しているのにも関わらず、税務調査が入りやすいことに対して疑問を持つ人もいるかと思いますが、調査が来ることに関しては拒否が出来ないため、しっかり対策して臨む必要があります。
顧問税理士契約をしている人は、まずは顧問税理士に税務調査の立ち合いをお願い出来るか確認するようにしましょう。