「企業文化」引き締め図る
米アマゾン・ドット・コムは2025年1月から、世界の社員に向けて週5日の出社を原則とする方針を打ち出しました。
新型コロナのまん延で事務系社員の大半が在宅勤務になっていましたが、23年5月からは週3日の出社を義務付けていました。
コロナ禍で急増した人員と在宅勤務の継続により企業文化に緩みが生じているとの懸念を感じたようで、コロナ禍前の週5日勤務に戻すと公表しました。
アマゾンCEOアンディ・ジャシー氏の話
オフィスでの共同作業が社員同士の学び舎、新しいアイデアを生み出したりするには出社が効果的だと説明しています。
過去29年間の成功の最も重要な「企業文化」を強固にするためには、在宅勤務を続けていては当事者意識の強さや、素早い意思決定、倹約といったアマゾンの文化が維持できないと判断したようです。
コロナ特需(ネット通販の拡大による従業員数の拡大)の後の22年秋には本社部門を中心に27,000人の削減を行っていますが、ここへきて働き方にもメスを入れるようになりました。
組織構造の改変で管理職のマネージャーに対する現場担当者割合の増加を図ります。
フラット化で社内承認プロセスを減らし、迅速な意思決定を促進する狙いです。
また、フリーアドレスを止めて座席も固定にするといっています。
他の企業への影響も考えられる
週休5日出社への回帰は米テック企業としては初めての取り組みです。
社員からの反発も予想されます。
特に在宅勤務を前提に遠距離に住む社員は通勤が負担になることが懸念されます。
シリコンバレーを中心に週3日出社の「ハイブリッド勤務」が定着していましたが、経営者の間では生産性を高めるためには出社が望ましいとの見方が広がっているようです。
アマゾンの決定が今後の働き方の潮流にどのように影響をおよぼすかが注目されます。