個別労働紛争の相談先
厚生労働省が7月に「令和5年度個別労使紛争解決制度の施行状況」を公表しました。
個別労働紛争解決制度は個々の労働者と事業主間における労働条件や職場環境に関するトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度です。
総合労働相談は都道府県労働局、労働基準監督署内、駅近隣建物内等全国に379か所に総合労働相談コーナーを設置し相談員が対応する他、助言・指導、あっせんの方法があります。
相談件数は4年連続で120万件超
公表された内容を見ると総合労働相談件数は約121万400件で、4年連続して120万件を超えています。
内訳は「法制度の問い合わせ」83万4,829件、「労働基準法等違反の疑いのあるもの」は19万2,961件、「民事上の個別労働関係紛争相談」が26万6,162件となっています。
また助言・指導申し出は8,372件(前年度比4.8%増)となっています。
相談はいじめ嫌がらせが最多
相談内容の内訳をみると、民事上の個別労働関係紛争相談では「いじめ・嫌がらせ」が12年連続最多で6万125件となっておりそのあとに「自己都合退職」4万2,472件、解雇3万2,944件と続いています。
いじめ嫌がらせというとパワハラのことと思いますが、パワハラについては改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法を含む)の全面施行に伴いパワハラ相談はこの法律が適用されることとなり、「いじめや嫌がらせ」の数には計上されていません。
「法制度の問い合わせ」や「労働基準法等違反の疑いがあるもの」に計上されています。
パワハラとは
パワーハラスメントは、
- 優越的な関係を背景としての言動で
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
- 労働者の就業環境が害されるもの
とされておりますが、パワハラに限らず「いじめ・嫌がらせ」については企業の労使紛争のリスクにおいて大きい課題であるといえます。
良好な労使関係のためには常日頃対策を取っておくべきでしょう。