労働生産性と働き方改革の関係
「生産性=成果÷投入量」ですので「労働生産性=付加価値÷総労働時間」となります。
国が推し進める「働き方改革」の目的は一貫してこの「労働生産性の向上」です。
労働生産性の算式を見てわかる通り労働生産性を上げるには「付加価値を上げる」か「総労働時間を下げる(短くする)」しかありません。
既に実施されている各種の働き方改革の施策、例えば「罰則付き労働時間上限規制」や「年次有給休暇の取得義務化」などは後者の「総労働時間を下げる(短くする)」ための施策で、「働き方改革フェーズⅠ」といわれるものです。
これに対して「働き方改革フェーズⅡ」といわれる施策も進められようとしています。
つまり、これからの働き方改革の施策は「付加価値を上げるため」のものということができます。
働き方改革フェーズⅡ
働き方改革フェーズⅡについての具体的な施策はまだ施行されていませんが、内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針(以下「基本方針」)2021及び2022」でその方向性が示されています。
まず、2020年の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響後に作成された基本方針2021では、「感染症の影響からテレワークの拡大などの変化を後戻りさせず、働き方改革を加速させる」とし、そのうえで「労働時間の削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進する」と謳っています。
ここで注目すべきはフェーズⅡの目的を「従業員のやりがいを高めること(エンゲージメントを高めること)」とし、そのための手段として「雇用形態をメンバーシップ型からジョブ型へ転換すること」としていることでしょう。
基本方針2021を受けて作成された基本方針2022では、従業員のやりがい(エンゲージメント)を高めるための多様な働き方の選択やそのための環境整備のための施策が謳われています。
いくつか例を挙げると「副業・兼業」「リスキリング」「労働条件の明確化」などは早期の法制化や財政支援が見込まれています。