離婚をしても同居するという選択
諸事情で婚姻関係を終了する離婚という選択をしたとしても、子どもへの影響や生活環境変化の回避などのために、離婚後も同居という選択をするケースもあります。
この選択には、メリット(引越し・転校・転勤が不要となる等)もデメリット(児童手当が受けられなくなる、離婚相手と毎日顔を合わせることになる等)もありますが、本稿では、給与計算にかかわる所得税・住民税の取り扱いと社会保険の話をします。
社会保険はどうなるのか?
離婚後の生活費をまったく別生計にする場合は、それまで被扶養者であった者は改めて国民健康保険や新しい勤務先での社会保険への加入をすることになります。
一方、離婚後も同居人として生活を一にする(同一生計)場合は、「未届の妻(夫)」として、年金事務所に所定の届出書を提出することで、扶養認定されることになり、いままでと同じ社会保険の取り扱いとなります。
また、年金保険の国民年金第3号扶養者とすることもできます。
社会保険での取り扱いは、離婚後の生活費の負担状況などにより適用が変わってきます。
年金事務所や社会保険労務士と相談して、必要な届出書を提出し、新しい社会保険の取り扱いを適正に受けられるようにしましょう。
所得税の扱い、定額減税計算への影響は?
事実関係で扶養関係が判断される社会保険と違い、所得税では、法律上の婚姻関係で配偶者控除の適用の有無が判断されます。
配偶者控除の対象となる人の第一要件は、「民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)」とされています。
そのため、所得税計算に際して離婚した元配偶者は控除対象とはなりません。
離婚後の給与計算での扶養区分では対象外として扱うことになります。
なお、令和6年は定額減税があります。毎月の給与計算における所得税での対象判断は令和6年6月1日現在で行うことになっており、その後状況が変更したとしても、途中での調整は行わずに、年末調整で差額が調整されることになります。
また、個人住民税の定額減税額は、令和6年度の住民税の扶養親族数に基づいて算定されるため、令和6年中に扶養親族数に変更があった場合でも、その額に変動はありません。