税金基礎知識ブログ

前期末利益積立金がマイナスでも配当可能は日本でも同じ

前期末利益積立金がマイナスでも配当可能は日本でも同じ

配当直前利益積立金がマイナスでも

最高裁で、法人税法の趣旨違反、委任範囲の逸脱違法として政令の無効という判決が出された、

混合配当事件では、配当直前の「利益積立金額」がマイナスの状態でありながら、巨額な利益剰余金の配当が行われていました。

これについては、米国デラウェアLLC法がそれを許容している特殊事案と指摘する説明が多いようです。

日本の会社法の規定と税務申告

日本の会社法では、臨時の決算書の作成を可としており、分配可能額は、その臨時の決算書で算定されるものによるとしています。

前期末時点の利益剰余金がマイナスだったとしても、臨時の決算書での利益剰余金がプラスで、分配可能額が算出されるならば、その範囲での配当は可能です。

ただし、この臨時の決算をしたからと言って、それに基づく中間税務申告をする必要は必ずしもありません。

まして、臨時の決算が、6ヶ月経過時点のものでないとすれば、中間申告の要件に合致しません。

6ヶ月経過時点での臨時の決算書が作成されたとしても、それを以て中間申告をするか否かは、納税者の任意です。

会社法上、臨時の決算書を作成する事は、毎日でも可能です。

そこで、分配可能額の存在を確認できれば、毎日でも配当可能です。

その意味では、日本の会社法もデラウェアLLC法も同じです。

配当直前の「利益積立金額」とは

ところで、冒頭の判決で違法無効とされた政令で規定する「利益積立金」は、そう簡単には動きません。

まず、利益積立金は期末や中間申告書の提出で第一次的に動きます。

さらにそれ以外の要因で動くのは、法令の定めるところに拠ります。

冒頭の訴訟での配当をしたデラウェア法人の場合、配当原資たる利益剰余金は巨額にあるものの、利益積立金は前期末のまま変動していません。

期中での受取配当金などは利益積立金期中変動要因から除外されているからです。

受取配当金があり、会社法による臨時の決算をし、配当を実行して、中間申告書を提出していない場合の「利益積立金」は、前期期末時のものになっても不思議ではありません。

インボイス制度関連記事

  1. 制度開始目前のインボイス登録
  2. インボイス制度とは何か?仕入控除は決算にどのような影響がある?
  3. インボイス制度 事業者公表サイトでひと騒動
  4. インボイス制度で事務処理の煩雑さとの比較での旅費規程の見直し
  5. 小規模事業者持続化補助金の枠の種類が増加しました
注目記事 最新記事
  1. 相続税法第58条の改正
  2. 職場つみたてNISAと賃上げ税制
  3. 会社を廃業・清算する場合税金の支払はどうなる?法人税や消費税の支払いが必要!
  4. 在庫が決算に与える影響とは?粉飾決算は在庫がポイント!
  5. 相続税の納税資金として融資を受けることは出来るのか?
  1. 従業員に住所変更があった場合の社会保険と税金の手続き
  2. 離婚後同居で扶養継続の場合の社会保険・税金
  3. 埋蔵文化財包蔵地の評価
  4. 離婚と税金
    離婚と税金

    2024.09.11

  5. 改正入管法成立 育成就労制度とは

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP