お詫びとともに処分を発表
会社やその役員が不祥事等を起こした際に、「〇か月役員報酬〇〇%減」や「役員報酬の〇〇%を返上」といった処分をニュースで見かけますが、実際にこの処分を行う場合、気をつけなければならない点がいくつかあります。
減額を臨時株主総会で決定した場合
基本的に役員の報酬は定款または株主総会の決議によって決めなければなりません。
手続きを行わず報酬を変更、または臨時に改定する事由に当たらない報酬額の変更をした場合、定期同額給与とはみなされず、役員報酬の一部が損金不算入とされます。
不祥事が起きて、役員報酬の一定期間の減額を臨時株主総会で決定した場合はどうなるかというと、こういった役員報酬の一定期間の減額は「やむを得ない事情」に該当すると判断されているため、一定期間の減額改定・その後の増額改定についても「臨時改訂事由」によるものとなり、支払われた役員報酬はすべて損金算入してもよい、ということになります。
支給された報酬を返上する場合
早急な処分を実施する等のために、株主総会を経ずに支給される報酬を「受領辞退・返上」した場合については「支給期の前か後か」で、取扱いが異なります。
一旦受領した役員報酬を支給期後に返上した場合は、支払われる予定であった報酬の全額が損金算入となります。
ただし「一度支払ったもの」ですから、返上された金額分の源泉所得税も取られますし、社会保険料の算定等にも考慮されます。
役員個人にとっては「返上」が一番ダメージのある処分かもしれません。
なお、返上された報酬は雑収入等で計上する必要があります。
支給期前に辞退する場合
支給期前に報酬の一部を辞退した場合、減額改定と増額改定を行った扱いになり、事業年度中は減額され役員に支払われた金額が毎月の定期同額給与とみなされ、処分前や処分後に、それ以上に支払った分は損金不算入となります。
こちらは「返上」に比べると会社側の負担が大きい処分となります。
役員個人には「支払われていない」ため、辞退した部分については個人に課税はされません。