すべて「利益」だけれど数字は違う
決算書などで用いられる「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「純利益」ですが、この4つの利益の意味を正確に説明できますか?
会社の状態を読み解く上で重要なポイントでもあるので、この機会におさらいしてみましょう。
- 売上総利益
売上から売上原価を引いたいわゆる「粗利=付加価値」です。しかし製造業の場合、売上原価に製造原価が含まれるため正確な「粗利=付加価値」とは言えませんが、この売上総利益率がわかっていると、本業に係る1か月の販売費や一般管理費は概ね一定ですから、売上げがわかれば「売上×売上総利益率-販売費・一般管理費」の算式で1か月の営業利益が概算つかめます。
- 営業利益
企業が本業で稼いだ利益です。売上高から、売上原価や販売費及び一般管理費を差し引いた額です。
- 経常利益
企業が事業全体から経常的に得た利益です。本業以外の財務活動などによる収益と費用も反映させますから、例えば借入金が多く利息の支払いの負担が大きい場合は、営業利益に比べると経常利益は小さくなります。
- 純利益
経常利益から通常の企業活動には含まれない例外的な「特別収益」や「特別損失」を含めて計算されます。また、税金の控除前を「税引前純利益」、税金の控除後を「税引後純利益」と呼び、企業のすべての収益から、すべての費用・損失を差し引いて算出される利益となるため、最終的に「繰越利益剰余金」として資本となる利益です。
利益を比較して会社の状態を把握
純利益が最終的に企業に残る利益のため、一番重要なのは純利益に見えますが、特別収益や特別損失といった、継続的な事業には関係のない例外的な損益が加味されているため、企業の経常的な業績を判断する指標としてはふさわしくありません。
経常利益は、会社の資産運用益や借入金の利息なども加味されることになるため、事業全体に関する数字を見ることができ、会社の正常な収益力がどのくらいなのかを判断するのにふさわしい数字となります。