比例配分(プロラタ)計算
株主への配当は、利益の配当が一般的ですが、資本剰余金の配当を行うこともあります。
資本剰余金の配当を行う時は、プロラタ計算をします。
資本配当のうち、株式の譲渡対価と認識される「資本の払戻し」部分を算定するのです。
交付された資本配当のうち「資本の払戻し」部分を超える金額が「みなし配当」とされます。
600の配当が1000になる
ところで、完全子会社(資本金等の額1000、利益積立金額△600)から資本配当600を受けるような場合、プロラタ計算により「資本の払戻し」部分は1000(=資本金等の額1000×(減少した資本剰余金600/簿価純資産価額400))と算定されます。
この分数値が1を超える時は、以下の算式も含め1で計算します。
マイナス配当とか500の配当が100に
交付資本配当が「資本の払戻し」部分を超える額がみなし配当で、ここでの算出みなし配当値は△400(=600-1000)とマイナス値で出て来ます。
これは、「超える部分の金額」にはならないので、0と扱われます。
さらに例えば、前の例で、税務の利益積立金は△600だが、会計利益剰余金500があったので、併せて500の利益配当も一緒に実行したところ、混合配当だから、これを取込んでプロラタ計算する、ということになったとすると、資本の払戻し部分の金額は1000(=1000×600/400)と算定され、みなし配当は100(=1100-1000)となります。
混合配当訴訟で判決による修正
ところで、混合配当訴訟に係る最高裁判決が昨年あり、このプロラタ計算の政令規定が違憲無効と判決されたのを承けて、今年の税制改正がありました。
この改正内容に従うと、先の例での「資本の払戻し」部分の1000は600(=1000×600/400=1000>600)に、みなし配当は0(=600-600)になります。
もう一つの先の例での「資本の払戻し」部分の1000は同じく600に、みなし配当は500(=1100-600)となり、みなし配当と本来の利益配当とが一致します。
最高裁判決を承けての今年の改正内容は、マイナスみなし配当額計算問題解消に、極めてうまくフィットしています。
訴訟の係争点の混合配当が、マイナス利益積立金の法人からの配当だったからかもしれません。