税金基礎知識ブログ

「労務費転嫁指針」への実務対応

「労務費転嫁指針」への実務対応

「労務費転嫁指針」とは

政府は持続的な賃上げを実現するために、種々な取り組みを行っていますが、公正取引委員会の調査等によると、価格転嫁について、原材料価格やエネルギーコストと比べると、労務費の転嫁は進んでいないことが明らかになっています。

このような状況を踏まえ、政府(内閣官房及び公正取引委員会)は、労務費の価格転嫁の円滑化を促進するため「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(以下「本指針」)を策定し公表しています。

「本指針」の性格

本指針では、多くの場合で、発注者の方が受注者よりも取引上の立場が強く、受注者側から労務費の価格転嫁を言い出しにくい状況にあることを明確に認識したうえで、「12の行動指針(発注者側6、受注者側4、双方に2)」を取りまとめ、この行動指針に沿った行動を取ることが重要であるとしています。

「本指針」に従わないときは

発注者が「本指針」に沿わない行為をすることにより、公正な競争を阻害する恐れがある場合には、公正取引委員会において、独占禁止法及び下請法に基づき、厳正な対処をしていくことが明記されています。

本指針では、特に労務費について、独占禁止法における優越的地位の濫用や下請法上の買いたたきの問題として起こり得るものを「留意すべき点」として整理しています。

公正取引委員会の対応

公正取引委員会は、本指針で、受注者が匿名で、労務費と言う理由で価格転嫁に関する協議に応じない事業者等に関する情報を提供できるフォームを設置し、公正取引委員会が調査に活用していくとしています。

既に、公正取引委員会のホームページには、「労務費の転嫁に関する情報提供フォーム」が設置されています。

また、この取り組みが政府の重要政策の1つであることから、公正取引委員会は、今後も、重点調査の実施をするとともに、独占禁止法や下請法に抵触する問題がある場合には、事業者名の公表を伴う命令や警告など、これまで以上に厳正な法執行を行うとしています。

各企業においてはこの問題が、政府の重要課題であることを認識するとともに、本指針に沿った対応が求められます。

注目記事 最新記事
  1. 個人の青色承認取消しと期限後申告
  2. 5年? 7年? 10年? 帳簿・領収書等の保存期間
  3. 通勤手当を廃止して実費精算にした場合の給与計算
  4. 大企業向け賃上げ促進税制のマルチステークホルダー経営宣言とは
  5. 定額減税が開始されます
  1. 年の中途に退職した人の年末調整
  2. 保険料控除証明書の到着は必要な保険か否かを見直す好機です
  3. 採用と健康状態の調査
  4. 見落としがちな「逆パワハラ」
  5. 不法就労助長とリスク

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP