「税務調査の事前通知が来たけど拒否することは出来る?」
「税務調査は任意調査だから拒否できる?」
このような疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、税務調査は一般的に「任意調査」とされています。
しかしこの「任意」は「税務調査を受けるかどうかが任意という意味ではありません。
今回は、税務調査を拒否することは可能か?という点について詳しく解説していきます。
【目次】
税務調査は拒否できる?
結論から言いますと、税務調査は拒否することが出来ません。
なぜなら、憲法第三十条※に国民全員に納税の義務が定められている他、税法の規定により所得税や消費税など税金の算出規定が細かく決まっており、納税状況や算出方法について誤りや悪意を持った脱税行為がないかを調べる権利が税務署にはあるからです。
※憲法第三十条
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ
これを「質問検査権」と言い、それに対し納税者には、税務調査に応じる義務があり、それを「受忍義務」と言います。
実は受忍義務という言葉は法律用語ではありません。
しかし、国税通則法という法律の中に「質問検査権をもつ税務調査官の質問や調査を受けなければならない」という規定があることから、受忍義務があるとされています。
つまり、納税者は正確な納税が義務として課せられていることから、税務署の税務調査を拒否することは出来ないということです。
税務調査の「任意調査」とは何?
税務調査には「強制調査」と「任意調査」がありますが、一般的には行われている調査は納税者の任意の下行わわれる「任意調査」です。
しかし、先ほど説明した通り税務調査は拒否することが出来ません。
では何が「任意」なのかと言えば、税務調査中の帳簿や資料などの書類、パソコンのデータやレジの中などは検査官が強制的に調べることが出来ないことから、任意とされているのです。
つまり、調査官が何か調べたり、手に取ったりしたい場合は必ず納税者の任意を取らなければ調査が出来ないとされているのです。
もちろん調査内容とは関係ない物の公開を求められた場合は拒否したり反論したりすることが出来ますが、任意とは言え質問検査権を持つ検査官の依頼を拒むことは基本的に難しいと思っておいた方が良いでしょう。
税務調査の公平性を保ちたいと考えている人は、税理士に一度相談されることをおすすめします。
税理士であれば税務調査の立会をしてくれますし、関係ない帳簿の公開をしっかり拒否してくれます。
税務調査は拒否できないが変更は出来る
税務調査自体を拒否することは出来ませんが、どうしても仕事の日程と調整が出来ない場合は税務調査の日程を変更することは出来ます。
任意調査の税務調査の場合事前に税務署から電話で連絡が来ます。
この事前通知が来た段階で日程に都合が付かなければ日程を変更することが可能です。
ただし、日程の変更には正当な理由が必要です。
調査の対策や不正を隠すための日程変更は認められませんので注意が必要して下さい。
税務調査が中止になるケース
実は税務調査が中止になるケースが2つあります。
- 天災が起こった時
- 行政判断で無くなる時
それぞれについて詳しく説明していきます。
天災が起こった時
地震、洪水、大災害等が起こった場合は、税務調査が中止になるケースがあります。
ここで注意したいのが、税務調査が途中で中断する場合は「中止」とはならず「延期」という対応になるという事です。
再開の時期については明言を避けてきますが、実際再開されるかそのまま終了するのかは税務署の判断になる場合が多いです。
行政判断で無くなる時
行政判断とは以下のようなケースです。
- 税務調査を受ける本人が病気を患い入院することになった
- 税務調査を受ける本人が事故に巻き込まれた
- 税務調査を受ける本人の身内に不幸があった
等が挙げられます。
社会的に見て「税務調査が不適切」という場合には行政判断の下税務調査が中止になります。
またこちらのケースも中断する場合は「延期」対応となるため注意が必要です。
まとめ
- 税務調査は質問検査権の行使により拒否することが出来ない
- 税務調査の任意調査とは、帳簿等の書類について納税者の許可を得るまで勝手にみることが出来ないことから任意とされている
- 税務調査は行政判断により中止(延期)となるケースもある
税務調査の事前通知が来て、対応に不安を抱えている人は一度税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
特に初めて税務調査を受けるような人は、どのように対応すれば良いか分からなく苦労することが多いので、税理士を立会させた方が負担の軽減になります。
任意調査とは言え、意図もしない部分から出た書類で税務調査に引っかかる可能性もあります。
調査内容を確認して、その調査に必要な書類だけを提出することが出来れば問題内ですが、難しい場合は税理士に相談する方が良いでしょう。
顧問税理士が居ない人は、一度お近くの税理士事務所か無料相談会等を利用してみてはいかがでしょうか。