経理業務を行っていた人は勿論、経理から売り上げを計上しなければ、仕入れを計上しなければ。などと言った言葉は誰しも聞いたことがあるのではないでしょうか?

計上を行うには客観的、かつ合理的な基準を設けることが非常に大切になります。
基準を設けなければ、決算のたびに利益操作をいとも簡単に出来てしまうなどの理由があるためです。

そもそも計上ってなんなの?
売り上げや仕入れはどのタイミングで計上すれば良いの?
どんなことに気をつけて行えば良いの?

経理に慣れていない人は上記のことも分からないと言う方も多いのではないでしょうか?

このページでは経理、会計、簿記を勉強中などと言った方に向けて、計上に関しての基本的な知識から、どのような計上基準を設けるべきなのかを説明させていただきます。

計上とは

まず計上とは何かをお話しします。
計上とは「全体の数値(計算)に組み入れること」を指します。

会計上では「帳簿に記入して、決算書に反映すること」も指します。
実務においては資産や収益に計上することを「上げる」、費用に計上することを「落とす」と表現される場合も多いため、覚えておくと非常に便利です。

売り上げ、収益の計上基準

商品や製品を販売、サービスを提供した場合、その対価として得た売り上げを「どのタイミング」で計上するかがカギとなります。

例として工場から出荷して配送業者が3日後に、顧客の手元に届く場合、どのタイミングで計上すれば良いと思いますか?

このように商品を販売する場合、引き渡し時なのか、売買契約の締め日時なのか、代金の決済時なのか、場面によって変わってくるため、どの時点で売り上げを計上するかで、当期または翌期の売り上げが変わる場合があります。

売り上げが変わると言うことは、当然所得金額にも影響が出るため、税額にも変動が起こります。

どこで線引きをして、基準日にするかを「売上計上基準」と呼びます。
売上計上基準は、合理的理由があればその会社に合わせて基準を決めることができます。
また商品や取引先によって、異なる基準を使う場合もあります。

注意点として、1度決めた基準に関しては正当な理由なく変更することができません。

主な売上計上基準に関しては5つあり、以下がその基準になります。

出荷基準

商品を倉庫や工場など、保管している場所から出荷した段階、船に積み荷をした段階で、先方に引き渡しがされたとされる基準です。

納品基準

商品が納品された段階で売り上げを計上する基準、納品基準の場合は納品書を先方に渡し、受領書に受領印をもらった場合には、その納品書の日付が売り上げの計上日として扱われます。

検収基準

先方が数量や品質に関して確認を行い、検収通知の発行をした段階で引き渡しが完了とされる基準です。

使用収益基準

土地や建物など、不動産販売の場合には先方が使用可能になった日を計上日にする基準です。

検針基準

電気、ガス、水道など公共料金の販売に関して、メーターで検針し使用を確認した日を計上日とする基準です。

請負による売上計上基準

請負には主に、物の引き渡しが必要なケースと、引き渡しが必要ないサービス提供の2種あり、それぞれに関しての計上基準を以下にまとめています。

物の引き渡しが必要なケース(建築や建設工事業)

①完成引き渡し基準

目的物の全てを引き渡した日に売上を計上する基準

部分完成基準

建設工事などの一部が完成して、完成した箇所だけを引き渡した都度、その割合に応じて、工事代金を収入します。
特約又は慣習がある場合、その事業年度において、引き渡した工事の量、完成した部分に対応する工事収入を売り上げに計上する基準

物の引き渡しが必要ないケース(サービス業など)

①役務完了基準

サービス提供によって得られる対価は、そのサービスの全ての提供が完了した日に売上計上するとされる基準

②部分完了基準

サービスによって得られる対価が日数によって算定されて、一定の期間にその金額を確定させて支払いを受けることになっている場合、支払いを受けるべき報酬の金額が確定する都度、自確定した日に売上を計上する基準

証票の保管を忘れずに

上記にまとめた収益となる計上基準を採用した、いずれの場合でも売上計上時点の証明となる証票を保管しておくことが非常に大切です。
出荷基準とするのであれば、運送会社の引き取りを証明する伝票であったり、検収基準であれば先方の検収確認印や日付が入った書面が該当となります。

これらは帳簿を作成する際にも必要となりますし、万が一先方とトラブルが発生してしまった場合でも重要な証明書類として役立ちます。

売上基準は上記にまとめたもの以外でもあり、業種や取引の様態によって適応するべき基準が変わってきます。
株式公開、税務調査の際にはこれまで採用してきた基準に問題があることが判明して、事業計画の見直しを行わなければいけない場合もあります。

更には売り上げの計上基準を見直す必要性として、不確定な売上を計上せずに済むことにも繋がります。
税金問題、期の本来の売上をしっかりと把握するためにも、計上基準を採用する際には、合理的なものを選択することが非常に大切です。

仕入の計上基準

仕入れとは、販売の目的を持ったうえで、外部の業者から商品を購入することを指します。

仕入れを計上する時期は大きく分けて入荷時、支払時、検収時、請求書の到着時などが挙げられます。
しかし棚卸資産として貸借対照表に計上する場合、所得金額には影響を与えることがないため、売り上げの計上時期と比較すると、仕入れの計上時期は重要ではない場合があります。

売上計上時期と同様、1度決めた基準に関してはこちらも正当な理由がない限りは変更することができないため、慎重に決める必要があります。

仕入の計上基準は以下3つありますので、確認してみましょう。

発送基準

仕入先が商品を発送したときに仕入を計上する基準

入荷基準

商品を入荷した時に仕入を計上する基準

検収基準

入荷した商品を検収したときに仕入を計上する基準

在庫と原価の関係

仕入計上の基準は上記3つの他にも方法はあります。
売上と同様に任意選択することが可能です。

注意すべき点として、仕入の金額は正しい計上基準で計上した場合でも、金額がそのまま費用になることがない場合があります。

在庫が手元に残った状態で、費用に組み込んでしまうと、売り上げと原価が対応しなくなってしまい、利益の計算が難しくなってしまいます。

期末まで在庫として残っている商品に関しては、当期の利益にはなりません。
よって時期の売り上げが見込めるものとして、期末資産となります。

これを棚卸資産と呼び、この棚卸資産が過不足なく計上されているかどうかは、税務調査で確認される箇所となっているため、正確に管理する必要があります。

経費の計上基準

経費の計上とは、「経費で落とす」と呼ばれるなじみ深い言葉です。

経費は事業にかかる費用のことを指します。
事業の利益は得た収入から経費を差し引いて算出するため、経費として認められた費用が多ければ多いほど、利益(所得)が少なくなり、納税額が減るシステムとなっています。

しかし全ての支出を経費で計上できるわけではないため、注意する必要があります。

売上を得るための支出

経費として計上できる支出に関しては、当然ですが事業と関連するものに限られています。

飲食店では食材費などは勿論ですが、その他の業種であれば取引先との打ち合わせに必要な飲食費や交通費なども経費として計上することができます。

具体的には以下のような支出であれば、経費として計上することが可能とされています。

・租税公課(自動車税、印紙税、固定資産税など)
・通信費
・接待交際費
・減価償却費
・水道光熱費
・交通費
・修繕費

上記にまとめたものはほんの一例で、このほかにも事業に関係する支出であれば経費として認められることが多いです。

未払い分の経費の計上

経費として計上できるものは、その年内で支出したものに限られています。
つまり年末の段階では未払いのものでも、既に商品やサービスなどの提供を受けている場合、その費用は経費として計上することができます。

分かりやすく言うと、12月の水道や光熱費の支払いが翌月の1月だった場合、未払い費用として計上しておくことができます。

経費を計上するために必要なもの

経費として計上するためには、支出した証拠を残しておく必要があります。
ここでいう証拠とは、領収書、レシート、出金伝票などが挙げられます。

経費計上を行う上で、勘違いしがちですが絶対に領収書でなければいけないわけではありません。
レシートでも支出した証拠の記録になります。
また、どちらもない場合には、取引日、金額、支払先、支払いの内容を記録した出金伝票を作成しなければいけません。

しかし出金伝票は偽造しやすいものでもあります。
あまりにも出金伝票が多かったり、高額な支出である場合には、税務署から指摘を受けてしまい、計上できない可能性もあります。

確実に計上するためにはやはりレシートや領収書が良いでしょう。

また、書類の保管期限は法人・個人に関わらず、確定申告の提出期限から7年間、保管しなければいけない規則があるため注意してください。

引当金の計上基準

引当金とは、将来起こるかも知れない費用、または損失に備えて、事前に損金計上をしておく費用のことを指します。

引当金として認めてもらう場合には、以下の条件を満たしていなければいけません。

・費用や損失が将来的に発生する可能性が高いこと
・費用が損失の発生が当期以前の事柄に起因すること
・費用や損失金額の合理的見積もりが可能なこと

上記の条件を満たしている場合には、お金を当期の費用、損失として処理することが可能です。
また、引当金は以下の2種類に区分されます。

・負債性引当金~将来の支出に備えるもの
・評価性引当金~将来の損失に備えて、資産から控除しておくもの

負債性引当金

負債性引当金は債務性があるもの、ないものと更に2種類に分けられます。

負債性引当金で債務性があるものは、「退職給付引当金、賞与引当金、返品調整引当金」などが該当し、債務性がないものは「債務保証損失引当金、修繕引当金、損害補償損失引当金」が挙げられます。

・賞与引当金
企業が従業員に支給する翌期賞与のうち、当期負担分となる見積もりを計上する引当金のことを指します。

例として4月が決算を行う会社で、賞与時期が7月と12月だとします。
7月に支給される賞与の対象期間は1~6月、12月の支給対象を7~12月とする場合、決算月である3月までに含まれる1月~4月の4ヶ月分の金額を賞与引当金として計上します。

・返品調整引当金
返品が予想できる商品に対する引当金を指します。
当期に売り上げた商品であり、翌期以降に買い戻しがされる契約がある場合にのみ、引当金を計上することが可能です。
計上できる金額としては、当期に販売したうち、翌期の返品が予想される部分に相当する額のみです。

・修繕引当金
建物や機械の固定資産で、将来的に修繕費が必要になる企業が、将来の修繕を見越して計上する引当金です。
現在の業務を起因として、将来の修繕が必要となるため、今期の経費として計上することが可能です。

評価性引当金

評価性引当金には、貸倒引当金と投資損失引当金に分けられます。
以下で紹介しましょう。

・貸倒引当金

貸倒引当金とは売掛金や貸付金の回収ができなかった時のために取立不能見積額を事前に見積もり計上しておくこく引当金です。

取立ができない可能性の高い金銭債権に関して、見込み額を評価し、貸倒引当金として控除することが可能です。
その他の金銭債権は過去の貸倒実績率に基づいて評価を行い、貸倒引当金と言う形で計上することが可能です。

・投資損失引当金
子会社などの価額が酷く低下してしまったものの、回復する可能性を見込めると判断した場合は減損処理を行わずに投資損失引当金と計上することが可能です。

この回復する可能性は将来の予測であり、確実性を判断することは難しいため、計上が認められています。

計上に関する注意点

最後になりますが、計上に関する注意点を明記されていただきました。

計上時期のずれ

売上の計上などは、税務調査において高確率で調査対象とされます。
計上時期が正しいか?期のずれはないか?意図的にずれていなかったとしても、期がズレてしまっている場合には、追徴課税されてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
特に期がずれてしまう場合が多いパターンを紹介します。

・売上の計上と請求書の発行を同時に行ってしまい、請求書の締め日から期末までの計上が漏れてしまっていた
・入金と同時に売上を立ててしまい、商品を引き渡していたが、売り上げを立ててなかった

基準の変更

このページでも何度かお話ししたように、計上基準は1度決定したものを理由なく変更することができません。
しかし以下のような場合には変更が認められます。

・販売方法の変更
・取引条件の変更
・契約内容の変更
・取引量が著しく変化した

注意点ですが、税務調査の時に利益調整のために変更したと判断された場合には変更ができないのはもちろん、追徴課税されてしまう場合もあります。
計上基準を変更する必要がある場合には、正当な理由があるから変更した証明できる書類が必要となります。

計上は各項目も多く、複雑なものではありますが、経営を行う上では絶対に行っていかなければいけない業務となります。
計上を上手く行えば節税はできるものの、税務調査の対象になってしまうため、正しい知識を付けて事業に活用すべきです。

詳しく分からない、難しいことは苦手と言う方は、1度専門家である税理士に無料相談などを行ってみると良いでしょう。

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